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断熱リノベを前提にした住宅ローンの考え方
中古マンションを購入して、フルリノベーションや断熱まで含めた大きな工事を考える場合、
多くの方がつまずくのは、
「これって総額いくらかかるの?」という点ではないでしょうか。
リノベーションの工事だけでもイメージがしにくいのに、
断熱工事も含むとなるとさらに複雑に…。

最終的には、その総額から毎月の返済額を想像することになります。
そして、その前段階として、
「物件はいくらまで見ておけばよいのか」
「リノベーションや断熱費用はいくらかかるのか」
といった内訳が整理できていないと、
全体の資金計画を考えること自体が難しくなります。
さらに、この資金計画に関連して、
もうひとつ忘れてはいけないポイントがあります。
それは、
「そのお金をどう借りるのか」
という点。
前回の記事では、物件価格と工事費のバランス整理について解説しましたが、
今回は少し視点を変えて、
ローンの組み方そのものにフォーカスして解説していきます。
目次
Toggleリノベーション工事費用のローンの組み方
大前提として、ローンの組み方には大きく分けて
- 物件+リノベ+断熱をまとめて借りる「一体型ローン」
- 物件ローンとリフォームローンを分けるケース
という方法があります。
まずはこの違いを理解しておきましょう。
工事費用の金額や、住宅を既に取得しているのかどうかで利用シーンが異なります。
ここを理解しておくと、資金面の安心感につながりますので、
それぞれの違いについておさえておきましょう。
住宅ローン+リフォームローンという組み方
まずイメージしやすいのは、住宅ローンをそのまま組むという方法です。
この場合、
- 物件価格は住宅ローン
- リノベーション費用や断熱工事費用は別で借りる
というかたちになります。
つまり、工事費用については「リフォームローン単体」を利用することになります。
リフォームローンの特徴としては、
- 金利はおおよそ年2~4%前後
- 借入期間は10~15年程度と比較的短いケースが多い
- 多くは無担保ローン
といった点が挙げられます。
そのため、同じ金額を借りたとしても、
住宅ローンと比べて月々の返済負担は重くなりやすい傾向があります。
また、無担保であることが多いため、借入上限は500万~1,000万円程度というケースが一般的です。
その為、フルリノベーションや断熱工事を含めて1,000万円をゆうに超える規模になると、
金額が足りなくなるケースが出てきます。
以上のことから、リフォームローンの使い方は、
小規模なリフォームや、住んでから行う追加工事などに使われることが多いです。
フルリノベーション前提なら「リフォーム一体型ローン」
では、フルリノベーションのように1,000万~1,500万円、
あるいは断熱まで含めて、それ以上の工事費を想定する場合はどうするのがよいでしょうか?
ここでよく利用されるのが「リフォーム一体型ローン」です。
これは、新規の住宅取得のタイミングであれば、
- 物件価格
- 工事費用(リノベーション・断熱)
- 諸費用(仲介手数料、登記費用、司法書士報酬、火災保険料、銀行保証料など)
をまとめて住宅ローンとして借りることができるローンです。
最大のメリットは、住宅ローン水準の金利で借りられること、
そして借入期間を最長35年で設定できることです。
最近では40年や50年まで借りられるローン商品も登場しています。
同じ1,000万円を借りる場合でも、10~15年のリフォームローンと35年の住宅ローンでは、毎月の返済額は大きく変わります。
具体例で比較すると?
たとえば、
- 物件価格:3,000万円
- 工事費用:1,000万円
- 金利:年1.0%
という条件で考えてみましょう。

A.住宅ローン+リフォームローンの場合
物件3,000万円を住宅ローン(35年・1.0%)
工事費用1,000万円をリフォームローン(15年・2.5%)
で借りたとします。
その場合、住宅ローンとリフォームローンは別々で考える必要がありますので、
以下のような計算式になります。
住宅ローン(3,000万円/35年/1.0%)
→ 約84,685円/月
リフォームローン(1,000万円/15年/2.5%)
→ 約66,678円/月
合計
→ 約151,363円/月
※返済額は概算です(元利均等方式)
B.リフォーム一体型ローンの場合
物件3,000万円+工事費用1,000万円
合計4,000万円を35年・1.0%で借りた場合
→ 約112,914円/月
月々の差額は?
151,363円 − 112,914円
= 約38,449円/月の差
「返済期間の違い」だけで
月々4万円ほどの差が出ます。
この差は、金利の差というよりも、
リフォームローンの借入期間が短いことによる影響が大きいのです。
フルリノベーションや断熱工事を前提とする場合、
こうした月々の負担バランスを考慮し、
一体型ローンを検討するケースが多くなります。
「住宅ローン+リフォームローンの場合」は、
リフォームローンの15年の返済期間を終えると、
その後は住宅ローン部分のみの返済となります。
今回の試算では、
住宅ローン部分の返済額が約84,685円/月のため、
最初の15年間は約15万円台、
16年目以降は約8万円台という
二段階の返済構造になります。
一方で「一体型ローンの場合」は、
最初から最後まで約11万円台で推移します。
どちらが良いかはご家庭の状況によりますが、
- 最初の15年間の家計負担をどう考えるか
- 教育費などの支出が重なる時期と重ならないか
といった視点も踏まえて検討することが重要です。
一体型ローンの注意点は?
このように、住宅購入+リノベーションを検討されている方にとっては、
かなりメリットがあるローン商品ですね。
しかし、この一体型ローン、便利に見える一方でいくつかの注意点もあります。
工事見積が早期に必要
銀行は「いくら工事をするのか」を明確にしたうえで審査を行います。
そのため、事前に「工事見積書」の提出が求められることが一般的です。
銀行によっては、どの工事会社で施工するのかまで確認される場合もありますので、
その場合は、契約予定の工事会社に見積書を作成してもらい、提出する必要があります。
ケースバイケースですが、
あらかじめ工事会社が決まっている状態で進めることになるため、
設計・施工を一体で進めるワンストップ型のリノベーション会社とは相性が良いといえるでしょう。

後からのローン金額の増額は基本的にできない
この一体型ローンは、物件価格と工事費用、諸費用などを含めた総額で審査・契約を行います。
例えば、金銭消費貸借契約が完了した後に、
「もう少し工事費用を増やしたい」
となっても、原則として増額はできません。
そのため、最初の審査段階で工事費用の上限(アッパー)を設定したうえで、
借入枠を設定しておくことが重要です。
少ない金額で組んでしまうと、追加分は自己資金で対応することになりますが、
やや余裕をもった金額で枠取りをしておけば、リノベーション部分については後から減額することが可能なケースもあります。
リノベーションは、設計が進むほど具体化していきます。
当初の概算から仕様が確定する過程で、
金額が上下することは決して珍しくありません。
だからこそ、「最初にどこまでの工事費用を想定しておくか」が重要になります。
断熱工事は特に、
床・壁・窓など対象範囲によって費用が大きく変わるため、
後から追加するよりも、
あらかじめ最大想定で枠を取っておいて、後から減額するという進め方が安心です。
ただし、この「減額ができるかどうか」は金融機関によって対応が異なります。
なぜなら、以下のような「ローンの開始タイミングの考え方」が関係してくるからです。
ローンの開始タイミング(ダブルローン問題)
銀行によっては、物件の引き渡しと同時に住宅ローンの融資が実行され、
そのタイミングから返済が始まるケースがあります。
リフォーム一体型ローンの場合、
工事費用分の資金もこの時点で一緒に融資されることがあります。
そのため、まだ工事が始まっていない段階でも、
工事費用分の資金が一度ご自身の口座に振り込まれ、
そこから工事会社へ支払いをしていくという流れになります。
※例えば工事費用が1,000万円の場合、
一旦その1,000万円が口座に入るイメージです。
その場合、まだ工事中で入居していない期間に、
- 現在の家賃
- 新しい住宅ローン
が同時に発生する、いわゆるダブルローン状態になることがあります。
工事期間が数か月ある場合、この負担は決して小さくありません。
これまでご相談いただいたお客様のほとんどが「ダブルローンは避けたい・・・」
とのご意向でした。
こうしたダブルローンを避けるために、銀行によっては、
- 工事完了後の入居タイミングから返済開始
- 工事期間中は元金据え置き対応
といった仕組みを用意している場合もあります。
なお、この「据え置き期間」であっても、
- 管理費
- 修繕積立金
- 物件部分に対する金利相当分
の支払いは発生します。
そのため、「完全に支払いがゼロになる」というわけではありませんが、
元金返済が始まらない分、資金負担は大きく変わります。
据え置き対応ができる銀行は比較的多いものの、
ネット銀行の一部では対応が難しいケースもあります。
そのため、
- 希望している銀行で据え置き対応が可能か
- 返済開始のタイミングはいつか
というあたりを事前に確認しておくことが重要です。
まとめ
リノベーション工事や断熱工事を前提としてローンを組む場合は、
「借りられるかどうか」も大事ですが、「どう組むか」が重要になります。
別々のローンで短期・高金利で組むのか。
一体型ローンで長期・低金利で組むのか。
最初にどのくらい工事費を設定しておくべきか。
ダブルローン期間をどう考えるのか。
これらの設計によって、月々の負担や資金繰りの安定性は大きく変わります。
住宅購入+リノベーション工事は、工事の話以前に資金計画からスタートします。
物件を決める前の段階で、ローンの組み方まで含めて整理しておくことが、納得感のある住まいづくりにつながります。
金利の数字だけで金融機関を選ぶのではなく、
融資実行のタイミングや据え置きの可否まで含めて比較することが、リノベーション前提の資金計画では重要ということをおさえておきましょう。
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