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ZEH水準を目指す前に知っておきたい、中古マンションの断熱レベル
目次
ToggleZEHが気になる人ほど、最初に立ち止まってほしい話
「ZEH水準」「断熱等級」といった言葉を、最近よく目にしませんか?
新築住宅の広告やニュースを見ていると、「これからは高断熱が新築の基準」といった言われ方をすることも増えましたよね。
中古マンションの購入を検討している方の中にも、
「せっかくならZEHレベルを目指したい」
「マンションでできる断熱工事をしたい」
と考えている方は少なくありません。
ただ一方で、中古マンションの場合、戸建てと同じ感覚で「断熱やZEH水準を満たそう」と思ってしまうと、話が噛み合わなくなることがあります。
なぜならZEH水準の考え方は主に戸建てを想定して整理されてきたからです。
マンションになると、前提条件が変わってきます。

そこで今回は、ZEHを目指すかどうかを考える前に、
「中古マンションの断熱ってそもそもどうなのか」を整理していきたいと思います。
先にこちらを理解しておくことで、結果的に後悔しない買い物に繋がります。
ZEH水準って、結局なにを指しているのか
まず「ZEH水準」とは何かを簡単に整理しておきましょう。
ZEH(ゼッチ)とは、
「断熱性能を高め、省エネ設備を使い、さらに太陽光発電などでエネルギーをつくることで、年間のエネルギー収支を実質ゼロに近づける」
という考え方です。
つまり、
- 建物自体の断熱性能
- エアコンや給湯器などの省エネ性能
- 太陽光発電などの創エネルギー
この3つがセットになっているということです。
ポイントは、ZEHが「断熱だけ」の話ではないということです。
中古マンションに当てはめてみるとどうでしょうか?
マンションでは、太陽光発電を各住戸で設置するのは現実的ではありません。
そのため、ZEHの中でも「断熱部分のお話だけ」が切り出されて語られやすいという特徴があります。
つまり中古マンションで「ZEH水準」という言葉を使う場合、
実際には断熱性能をどこまで高められるかという話に置き換わっていることがほとんどです。
(※マンション全体での省エネ化(ZEH-Mなど)という考え方もありますが、本記事では「中古マンションの1住戸を購入・リノベーションするケース」を前提に整理しています。)
中古マンションの断熱は「買う前」でほぼ決まっている
※こちらは「リノベーションしても意味がない」という話ではありません。できること・できないことの前提を知っておくことが大切、という意味です。
中古マンションの断熱性能は、リノベーションができれば自由に向上できるかというと、実はそうではありません。
大きく影響するのは、次の3つです。
建てられた年代
築古マンションほど、当時の基準に合わせた断熱仕様になっています。これは「古い=必ず寒い」という意味ではありませんが、今の基準と比べると、断熱に対する考え方そのものが違うケースが多い、ということです。特に昔のマンションでは、断熱材がほとんど使われていなかったり、最低限しか入っていないことも珍しくありません。
建物の構造
多くのマンションは鉄筋コンクリート造で、壁や床、天井の多くが建物全体の構造と一体になっています。そのため、戸建てのように「壁内部全体に断熱材を新たに施工する」といった工事は基本的にできません。建物の構造自体が、断熱改修の自由度を左右するという点は、マンション特有の前提です。
専有部と共有部の区分
簡単に言うと、「自分の部屋として自由に工事できる範囲」と「建物全体に関わるため、個人では勝手に触れない範囲」がはっきり分かれています。
中古マンションの場合、断熱性能に大きく関わる外壁や床、天井の多くは、
共有部側にあたるコンクリートの構造部分(躯体)に含まれます。
そのため、リノベーションで断熱材を追加できるのは、
その内側にある内装の範囲に限られ、建物の構造そのものには干渉できません。

その中で、もっとも体感に影響しやすいのが窓です。
窓は外の暑さ・寒さが伝わりやすく、ここをどうするかで住み心地が大きく変わります。
もちろん、築年数が浅いほど「ペアガラス」などの高機能サッシが使われているので断熱性能は上がります。
築古の場合もマンションによっては窓サッシや玄関扉が交換されており、改善されていることもあります。
これはマンションの管理状態(修繕積立金の貯蓄額)に依存します。

また、築年数によっては、
コンクリート躯体壁と内側のボードの間に、もともと断熱材が入っているケースもあります。
その場合は、劣化の状態によって「活かせるか」「入れ替えが必要か」を見極める必要があります。
上記のように、年代や管理状態を加味して、
どんなマンションを買うかで断熱のベースはほぼ決まっているというのが中古マンションの断熱の基本的な考え方です。
断熱等級が高くても、寒く感じることがある理由
最近は「断熱等級」という言葉もよく使われます。
これは建物の断熱性能を、計算上の基準で段階的に示したものです。
ただし、この等級だけを見て住み心地を判断すると、ズレが出ることがあります。
なぜなら、実際の体感温度は、次のような条件に大きく左右されるからです。
- 日当たりの良さ
- 部屋の向き
- 角部屋か中住戸か
- 風の抜け方
同じマンション、同じ断熱等級でも、
南向きの部屋と北向きの部屋では、冬の暖かさはまったく違います。
よく内見していると売主さんから、
「冬場はリビングの奥まで日差しがはいるのでエアコンをつけなくても暖かいんですよ」
なんてことを伺いますが、まさにそのこと。
築年数は旧耐震、断熱工事もしていない場合でも、
部屋位置次第では住み心地が良い場合もあります。
断熱等級はあくまで「目安の数値」です。
その数値が高いからといって、住み心地そのものを保証するものではありません。
中古マンションでは特に、数字よりも「住戸ごとの条件」を見ることが重要になります。
ZEHを目標にする前に、まず効くところから考える
中古マンションで断熱を考えるとき、
「全部を完璧にする」ことを目標にすると、現実とのギャップが大きくなりがちです。
だからこそ大切なのは、体感への影響が大きいところから順番に考えると良いでしょう。
一般的に効果を感じやすいのは、次の順番です。
まず、二重窓(内窓)の設置です。
窓は外の暑さや寒さが伝わりやすく、住み心地への影響が大きい部分です。
そのため、断熱を考える際には、比較的手をつけやすく、体感の変化も分かりやすいポイントになります。
内窓を設置することで、冷暖房の効きが良くなったり、冬場の冷え込みや結露が軽減されたりするケースがあります。
マンションでは構造に手を加えられない分、窓の対策が現実的な選択肢になりやすいと言えます。
次に、断熱できる範囲の壁や床です。
壁や床については、既存の壁や床を解体したりするような工事を伴いますので、
二重窓よりは大掛かりになります。
その分室内の温度の安定感が増すなど、住み心地の改善が見込めるでしょう。
これから中古マンションを購入してリノベーションをされる方、
今住んでいるマンションをフルリフォームしようと検討している方は、
取り入れやすいタイミングでもあります。

まとめ|中古マンションの断熱は「前提整理」から始まる
「ZEH水準」をそのまま目標にするのではなく、
その住戸のロケーションや暮らし方に合った、断熱の落としどころを探すことが、現実的な考え方です。
ZEH水準は、これからの住宅を考えるうえで分かりやすい指標のひとつですが、
中古マンションにそのまま当てはまるとは限りません。
中古マンションでは、
- 建物の制約
- 改修できる範囲
- 住戸ごとの条件
などによって、できることが大きく変わります。
そのため、断熱を考えるときに大切なのは、
「どこまで性能を上げるか」よりも、
「このマンションで、どこまでできるのか」を把握することです。
断熱は、数値を追いかけるためのものではなく、
日々の暮らしを、無理のない形で快適にするための手段です。
まずは全体像を知ること。
そのうえで、自分たちの住まいにとって必要な断熱のあり方を整理していく。
そんな順番で向き合うことで、
後悔の少ない、納得感のある住まい選びにつながっていきます。
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